荒れ狂う海、世界は“大航海時代”の17世紀初頭。
広南国(現:ベトナム中部)の王女・玉華姫と日本の商人・荒木宗太郎は、両国を結ぶ大海原の船上で出会う。それから10年後、二人は運命に導かれ再会。いつしか恋に落ち、結婚することを決意する。娘を異国に嫁がせることに反対する王であったが、二人の変わらぬ決意と深い愛を確認した王は、結婚を許し二人を日本・長崎へ送りだす。
「アイン・オーイ!」長崎の町中で、天真爛漫な玉華姫が宗太郎を広南の言葉で元気に呼びかける。長崎の人々はそんな姫を見て、いつしか「アニオーさん」という愛称で呼ぶようになった。町の人々にも愛され、娘も生まれ、幸せいっぱいの二人。
そんな二人に抗えない“時代の波”が襲いかかる。長崎奉行から鎖国の通達が下されたのだ。二人の運命の行方は…?
愛し合う二人は、国や身分を越えた対等のパートナー。古(いにしえ)の時代からあったベトナムと日本を跨ぐ愛の物語が、オペラとして現代に蘇る。